シャモニクラブ 山行記録

年末登山:西穂岳

日時:12月29日〜12月31日

参加者:冨田(L、写真)、有村(SL)、小野(報告、写真)、柴崎、長島(写真)、菅澤

行程:
29日 新宿〜松本〜平湯〜新穂高〜西穂登山口〜西穂山荘

30日 山荘〜独標〜ピラミッドピーク〜独標〜山荘〜新穂高〜栃尾温泉 栃尾荘

31日 上栃尾〜平湯温泉〜松本〜新宿

暮れに計画していた富士山での雪山訓練登山が、富士山の積雪を待って満を持して実行したが、スバルラインの閉鎖で断念し、日和田山に転進して、アイゼン装着での岩登りで我慢したが、年末に女性3人とベテラン3人の男性3人で西穂登山を敢行した。

この時期の北アルプスは、天候が安定せず、飛騨側からの激しい風に行く手を阻まれる事が少なくない。

12/29 15:50 ロープウエイ駅からのアプローチ16:30 西穂山荘に到着16:30

29日の晩から強風が吹き、30日も曇天で降雪はなかったが風が強い。
小屋の朝食を摂って、不要な装備類をデポして、8時頃に出発、飛騨側からの強風に吹かれながらも丸山を経て独標に着いたのは、9:40だった。大勢の登山者やパーティが頂上で休憩したり、写真を撮ったりして、それぞれに引き返し、単独行の登山者が先行して独標を下ったのを除くと私たちだけが残った。

12/30 7:40 テントサイト同 9:30 独標

同 同

高度が増すにつれて気温が下がり、風も強まるなか、冨田リーダーが「どうする?」と問いかけても誰も先に行くとも引き返すとも言わない。結局、冨田の決断で、ザイルをだし、独標を下り前進することになった。

有村が先行して降り、安定したところでザイルを固定し、後続の女性3人と私がシュリンゲと安全環付カラビナでハーネスとロープをつなぎ下降する。最後に冨田がザイルを回収しながら下降。

これからも、ザイルワークが必要な個所があり、この悪天候(低温・強風)のなかオーバー手袋をしてのザイル操作は困難を極める。とうとう冨田は指先を凍傷にみまわれる。 この後、有村、柴崎、小野はフリーで、冬山初挑戦の長島、菅澤は冨田のリードでアンザイレンし登降を繰り返し、ピラミッドピークには、11:20に到着。

12/30 11:25 ピラミッドピーク


天候とこの後の行程を考慮し、新人二人の西穂登山はここで引き返す事に決定。 ピラミッドピークや独標、その間のいくつかのピークの下りは神経を使う。アンザイレンした3人の下りは、菅澤、長島、冨田の順になるが、3人でコンテニアスで下降の場合は、先頭とセンカンドの呼吸が合わないと、思わぬアクシデントに遭遇するリスクがあるので、呼吸を合わせる事が大事になってくる。

12:20 独標の登り返し

独標からの下りが終わると、あとは雪稜を淡々と降るだけである。13:50に山荘に到着。 昼食をとって、荷造りをして、ロープウエイ駅までは、樹林帯の下降である。ロープウエイを乗りついで、新穂高駅からはバスで上栃尾へ。

バス停の目の前が、今夜の宿所の民宿栃尾荘である。笠ケ岳小屋の経営者が経営する民宿で、新穂高の中崎山荘が閉鎖(今年は再建されていた)された後、2回連続でおせわになっている。
温泉につかって、温まったあと贅沢なご馳走とお酒ともに、シットハーネスはアウターの上に装着する事を徹底するとか、コンテでの登降時のコミュニケーションの徹底とか、年末登山の反省会も。

13:30 小屋手前の下降13:40 小屋前の雪だるま

30日のリーダーのメモ
昨夜来の強風も西穂小屋の辺りは静かで、汗かきの私はアンダーウエア含めて3枚(アウター含む)で出発!尾根上に出た途端強風に震えるし、手は凍えあわててフリースを着込む! リーダーとして情けない限り。手袋もダウンのミトンをつけてようやく落ち着く。

飛騨側から吹き付ける強風はわずかに露出する顔も容赦なく凍らせる。昨日の40度の焼酎が聞いたのか、息がせわしなく足元も安定しない! 独標に登り着き写真を撮ると他のパーティは皆下山していく。天気も不安定で風も強いがピラミッドピークが白銀に輝いている。
独標から望むピラミッドピーク

前進か?撤退か?誰も返事がない! ここで帰ったら、ツアー登山と一緒じゃないか? 軟弱な登山者しか育たない! 新会員にすこしでもほんとの雪の稜線歩きを感じて欲しい、と考え、取り敢えずピラミッドピークまでは行こう、と思い独標を越える。

岩と雪のミックスした縦走路を女性2人とロープを結びゆっくりと登った。ピークに着くと11時を回っており下山を考えると、この先には進めず、小屋にもどることに決めた。
独標への下りも慎重に進めたが途中の岩のステップで長嶌が転落! ロープは右手でがっちり止まっているが、下を覗くと急な斜面に宙つりになっている長嶌が見えた! 私の指示不徹底で、菅澤トップで下降中、小ステップでロープが引かれ長嶌がバランスをくずしたようだ。互いに声を掛け合い注意を促すか、セカンドの長嶌にロープを外しスルーに流れるようにカラビナを架け替えるか、私のアドバイスがたりなかった!と、反省している。

今後の課題としてもショートロープ、タイトロープ、自在なロープワーク、ビレイ技術を全員がリーダー足り得るものとして身に付けていかなければと痛感した山行であった。指先の軽い凍傷も40数年ぶりであった。
冨田榮吉

感想:有村
前回の冬山が記憶は定かではないが、おそらく5年ぐらい前の年末にクラブで行った焼岳か西穂が最後だったと思うので、今回は私にとってそれ以来の冬山でした。参加者総勢6名、しかもうち女性3名の華やか、かつ賑やかで楽しい山行でした。残念ながら西穂ピークは踏めずピラミッドピークまでの折り返しでしたが、それでも久しぶりの冬山の極限に近い烈風と寒さは、日頃の下界での生活でゆるみきった私の五感に十分すぎる刺激を与えてくれました。
なお、隊列の最後尾に着いた私は女性陣の健脚ぶりに感服すると同時に、この先彼女らの足手まといにならないように、より一層の鍛錬を誓う山行ともなりました。

13:40 終了

柴崎
雪と岩を堪能することができ、大変嬉しく思います。
皆様ありがとうございました。
慣れない、ゴーグルを首に下げたことが災いして、またも左頬に凍傷を作ってしまいましたが、西穂の尾根を歩いた証でもあり、鏡を見てニンマリ?しています。
西穂山荘での一夜は、風も強く心配でしたが、翌日は視界も比較的良好で青空も時々覗く1日となりました。ただ風は強く、予想以上に体感温度が低く萎えました。しかし独標手前の岩と雪を見たときは、アドレナリンが・・・。
独標で引き返すパーティーを横目に更に進む優越感に浸りつつ、岩と雪のミックスに興奮しながらピラミッドピークへ。やや強行に進ませて下さった、冨田さんに感謝です!!
ピラミッドピークから時折見えた西穂岳に夏の縦走での再会を誓った次第です。
下り途中でいきなり、ショートロープビレイを命じられたのにはあせりました。もちろん安全地帯ではありましたが、ロープの張り具合や進行の具合を意識しながら歩くのは、とても緊張しました。私の後ろに有村さんがいて下さるだけで安心感が違うのもパーティーの有り難さですね。
皆様、本当にありがとうございました。
冨田さーん、地上でもう一度講習会して下さいね。

14:40 午後のテントサイト14:50 下山開始前

長嶌
初めての本格的雪山登山、参加する機会を頂き感謝申し上げます。西穂山荘までは短いアプローチにも関わらず慣れない雪上歩行で、途中、根を上げてしまいました。
加えて頭痛で熟睡できず、翌日の登山を諦めようかとも思いましたが薬で段々と体調も良くなり、存分に冬山を楽しむ事ができました。
何もかもが初めてで、風、気温、岩と雪、今までは想像の世界であった冬山の、その全てに感動でした。

歩きながら、何故ピッケルを持つ手の薬指と小指が冷たくなるのだろう?
聞いてはいたけれども、一度冷たくなった手がなかなか暖まらない、疑問がわいたり、実体験したり、本当に勉強になりました。
アイゼン歩行も、先行する冨田さんの足元を見ながら同じように真似してみたり、ピッケルを同じように雪面に刺したりなど、行程全部が学習の場でありました。

そして、途中で滑ってしまい、みなさんにご心配をお掛けした事をお詫びしなくてはなりません。気付くと目の前には空があり、自分の右側の谷川を見た時、「あ、崖だ。何もない」と意外と冷静でしたが、それはしっかりロープで支えて頂いていたからだと思います。 後で「宙づりになっていた」と聞いて、逆に驚きました。
改めて、ロープでつながっている者同志でのコミュニケーションが大切であり、まわりをよく観察する必要があることを感じました。初心者と言う甘えた気持ちを早く卒業しないといけないとも思いました。

また、登山道にトレースはついていましたが、どの場所を通るのか、独標の登り返しのところの印を外れないように登る事も、初心者の自分には勉強です。今回の山行でも、本当にたくさんのことを学びました。冬山は、どんな好条件であっても、危険な場所である事、 自ら学習する姿勢を崩してはいけない事。諸先輩方の行動1つ1つが私には勉強でした。

初心者向けの西穂と言う事でしたが、自分にはレベルがちょっと高かった様な気もします。 少しずつステップアップして、いつかは自立して行動できるようになりたいと思います。 それまではクラブの皆さんにご面倒をお掛けする事になりますが、これからもご指導の程、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

菅澤
雪山は色々登っていますが岩稜は初めてでした。
クライミングの成果かすごく楽しかったです。
天候不良だったため仕方がないのですが、もっと沢山歩きたかったです。
体力があり余って眠れませんでした。

冨田さんには大変ご苦労いただき心から感謝しております。

12/30 栃尾荘の夕食


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